機種変更いたしました
5年間を共に歩んだ彼女に別れを告げました
更新が遅れました。GWだったので、実家に帰っていました。
アパートに戻ると、三角コーナーの片付け忘れが賑やかになってたので、泣きながら掃除しました。
帰ってきてすぐにコンタクトを外していて良かったと、心の底から思いました。
シンクにちらほら見える動くものを、眼鏡をかけて見てみる勇気はなかったです。
ゴム手袋と熱湯は偉大です。ぼえもです。
大学生になったので、5年間共に歩んできたAndroidのAn子と、別れる決意を決めました。
初めてスマートフォンを買った日から、2度ほどデータが飛びながらも、私の人生を彩ってきたAn子。
色は私のクールさを表す青色です。
Androidなので、スマホケースにも恵まれず、買った当初のアクリルケースだけで乗り切った5年間。
4年目になると、勝手にデータが消える、もしくは逆にデータが増える(?)という進化を遂げていましたが、5年目になると更にパワーアップし、いきなりフリーズし、電源を落とさざるを得なくなるなど、その無邪気さを遺憾なく発揮していました。
年々そのお茶目さを増してきたAn子に、限界が近いこともわかっていたのです。
そこでついに、An子に別れを告げることにしました。
An子を連れて立ち寄った携帯ショップには、最新式のスマホがずらりと並べられています。
煌びやかなその姿は、5年前のAn子の姿と、どこか似ていました。
「本日はどうなさいました?」
「えっと……機種変更で来たんですが…」
店員さんと相談している間にも、An子と私は、最後の瞬間を惜しむように、手を取り合っていました。
「何かご希望の機種などはありますか?」
「iPhoneとか、ちょっといいなーとは思ってます」
すぐ本体が熱くなってしまう、照れ屋さんだったAn子。
どんなにケースが割れ、データが飛んでも、画面だけは傷一つ付かなかったAn子。
バックアップを取る、最後の瞬間まで、パソコンとの接続をスムーズにしてくれなかったAn子。
もしかしたら彼女は、私と離れたくなかったのかもしれません。
「では、iPhone8ご購入ということで…」
「はい、よろしくお願いします」
新しく手にしたiPhoneは、目も眩むほどの輝きを放っていました。
あぁ、やっぱり早くiPhoneにすべきだった。Androidはケースも無いし…と考えている私の手に握られたAn子を、店員さんが見ました。
「古い方の機種は、こちらでお預かりもできますが…」
そのとき、手の中のAn子と目が合ったような気がしました。
目に明るいような青色が、まるで泣いているように見えます。
「……いえ、持って帰ります」
思わずそう口に出していました。
私も彼女と同じで、離れがたかったのかもしれません。
そしてこちらが、新しくお呼びしたiPhoneのアイ美です。
色は私の殺気を表す赤にしました。赤いので他のiPhoneより3倍も速いです。
An子との引継ぎ式も無事に終了したので、これからは彼女を幸せにしてあげたいと思います。